紡ぎ舎は長野県北部の小さな村「小谷村」にあります。人口2,500人の小さな過疎の村です。
その小谷村の中でも土谷(つちや)と呼ばれる谷に紡ぎ舎はあります。

土谷川に沿った地区です。
土谷地区
国道148号線の「下里瀬」交差点の信号を東に曲がると土谷地区の入り口です。
ここから「土谷川」に沿って石原、太田、中通、上手村、・・・と最後は奉納(ぶのう)温泉まで続く約6km、標高差330mの谷が土谷の谷です。
紡ぎ舎はその中でも最も入り口に近い石原集落にあります。

紡ぎ舎店舗外観
今回は紡ぎ舎から車で5分ほど谷を上った、土谷の谷のちょうど真ん中くらいに位置する「上手村」地区から紡ぎ舎まで下ってくる辺りをご紹介したいと思います。
ちなみに「上手村」と書いて「わでむら」と読みます。地名の読み方は難しいです。

上手村から望む北アルプス。雲がありますが、鹿島槍ヶ岳や白馬五竜岳などまで見渡せる絶景です。
喫茶白月
上手村には「喫茶白月」というカフェがあります。
席数が7席ほどの小さなカフェです。ケーキとコーヒーが本当に美味しく、そして景色も素晴らしいカフェです。
大きく開け放たれた窓からは里山の谷が眼前に開け、さらにその奥には鹿島槍ヶ岳や白馬五竜岳といった北アルプスの山々まで望むことができます。
この風景を独り占めしながら、優しく丁寧に焼き上げられたケーキやお菓子をいただくというこの上ない贅沢な時間の流れを求めて、県内外から絶えずお客さんが訪れる名店。
リモート化が進む昨今にあって、「その場所」に赴く喜びや、そこでしか感じられない空気、音、匂い、そして時間を五感の全てで味わう悦びを改めて私たちに思い起こさせてくれる、そんな特別な場所です。

小さな喫茶店です。

お店への階段の入り口。

個人的には雨の日の白月が好きです。

喫茶白月へは、この看板が目印です。ここを左折。
紡ぎ舎に向かって下りはじめます

上手村付近の風景

上手村バス停。村営バスがたまに来ます。

上手村バス停待合室。

上手村バス停待合室。誰が作ったのでしょうか。

村内では日当たりの良い場所です。
中通(なかどおり)
喫茶白月のある上手村から少し下ってくると道がまっすぐになります。
正面には先ほどより少し大きく見える北アルプス。
中通にはこの地域の人たちが集まる公民館があります。公民館にはコインロッカーを活用した「土谷野菜直売所」が併設されていて、地域の方々が畑で採れた野菜などを販売しています。

まっすぐな道路の中通集落。真っ正面に見えるのが鹿島槍ヶ岳。

手作り感溢れる野菜直売所

紡ぎ舎オープンのお知らせも貼っていただいてありました。

お金を入れてコインロッカーを開けると野菜を取り出せます。50円の商品には、野菜と一緒にお釣りの50円も入っています。
塩の道

塩の道の道標
その昔、日本海から松本に塩を運んだ「千国街道」という塩の道があります。ここ小谷村はその塩の道が昔のままの状態で保存されている場所として知られています。
一説には上杉謙信が「敵に塩を送った」その塩は、この千国街道を通ったとも言われています(諸説あり)。
そんな歴史ある塩の道の一端を、このあたりでも歩くことができます。

昔ながらの道沿いにお地蔵さんなどが並びます。

貴重な歴史的遺産です。

何頭もの牛や歩荷が往来した街道の面影。

街道沿いのお花なども楽しみの一つ。

街道を行き交う人々を見守っていたのでしょう。

看板なども整備されています。
日本の原風景
中通地区からその下の太田地区のあたりは、日本の原風景とでも呼ぶべき長閑な風景が広がっています。
恐らく数十年、いや数百年前から変わらぬ景色が広がっているのではないかと思ってしまう美しい里山の風景です。
何も考えず、ボーッとしたままずっと眺めていられる風景です。まるでこの場所だけ世間から取り残されて、流れる時間の速度も世間から置いて行かれているような気持ちになります。
サラリーマン時代に毎日通っていた東京大手町の雑踏も現実なら、この隔世的で牧歌的な風景もまた一つの現実なのだというのは何だか不思議なものです。

長閑な風景が広がります。

農具を置いておく小屋でしょうか

石像や石碑がたくさんあります。

何もない風景が小谷村の贅沢さだと思います。

昔の農協の倉庫。いい建物です。

こちらも物置小屋。
紡ぎ舎のある石原へ
先ほどの中通、太田からさらに下ってくると紡ぎ舎のある石原地区です。
紡ぎ舎から歩いて数分のところに「白山神社」があります。

県の天然記念物でもある白山神社の大杉
白山神社には県の天然記念物にも指定されている巨大な杉があります。
根元に近いあたりは中が空洞になっています。

空洞になった部分に祀られています

既に木ではない何かに見えます
紡ぎ舎の周辺
紡ぎ舎周辺まで下ってくると北アルプスの山々は見えなくなってしまいます。
先ほどまでの中通や太田、そして上手村のひらけた感じよりは少し山が近く感じられます。
眼下には白馬から糸魚川へと注ぐ姫川がしっかりと見えるようになります。

白山神社横の崩れかけた蔵

どこもかしこも長閑なところです。

眼下を流れる姫川。糸魚川に注ぎます。

紡ぎ舎の裏山あたり。
紡ぎ舎のある土谷地区、いかがでしたでしょうか。
このような美しい場所にご縁をいただいてお店を構えられたことを改めて嬉しく思います。
いつまでもこのうつくしい風景が続きますように。
ぜひ皆さんもこの風景を眺めにお出かけください。